介護中の口腔ケア

介護中の口腔ケア、なかなか手が回らない所ですが、QOL(人生の質)に大きく関わってきます。

口臭が気になる、歯肉から血が出る…

さまざまな問題があると思いますが、一番は

「お口の中をきれいにして、気持ちよくなって欲しい!」ということだと思います。

口腔ケアをしっかりすることは、口腔機能の保存、つまりは口から食べることを保存していくことになります。

 

経口摂取してない人も、粘膜には体でいう垢がたまっています。体を拭いてあげるのと同じで口腔ケアは重要です。

 

 また、お口の中が不潔だと、肺炎の原因になることが分かっています。

 

それでは、現役歯科医師の勧める、正しい介護中の口腔ケアについて説明していきます。

 

 

介護中の口腔ケアの方法

ぶくぶくうがい
ぶくぶくうがい

① 歯磨きを始める前に、まずうがいをしましょう。

 

 お口の中に残っている食べカスを落とすためと、乾燥した口の中を湿らせるためです。

 うがいをすることで、筋肉のトレーニングにもなります。

 がらがらうがいではなく、ぶくぶくうがいをして下さい。

 

 うがいができない人は省略。お茶を飲むなどでもいいです。

 お茶を飲めない人は普段の水分摂取を行って下さい。

 (とろみつき、ゼリーなど)

 経口摂取ができない人は、誤嚥を予防するためにも、脱感作から行って下さい。

 (下の口腔ケアの前にの項目を参照して下さい)

 

 

介護中の口腔ケア スポンジブラシ
小さめで硬すぎないものを選びましょう

② 粘膜の清掃

 スポンジブラシを濡らし、固く絞ってから使用します。水分が多いと誤嚥する可能性があります。

 お口に残った食べカスを奥から手前にかき出して行きます。特に上の歯と頬の間に汚れが残りやすいです。上あごと舌の上も行って下さい。途中コップの中で汚れを洗いながら行ってください。せっかく取った汚れも口の中に残っていると、再び定着してしまいます。

 

 マッサージをするような感じで行ってください。

 この時唾液の分泌が少ない人には、口腔保湿液を使用してもいいです。

 

 

歯科医師会公認 よ坊さん

③ 正しい歯ブラシの手順に沿って磨いて下さい。

  正しい歯磨きの手順はコチラ

 

汚れが多い場合は、大きい歯ブラシで大まかに汚れをとってから、小さい歯ブラシで仕上げ磨きをすると効率的にきれいになります。

 

最後にもう一度ぶくぶくうがいをして終わりましょう。

口の中の汚れを外に出すことが重要です。

リハビリ中の方が自分で磨かかれる場合には、大きめの歯ブラシの方が使いやすいです。

また、電動歯ブラシもオススメです。

 

介護中の方の口腔ケア ジェルコート

介護中の方は、歯周病の事が多いので、

歯周病の方の歯磨を参考にし丁寧に磨いてください。

 

一般の歯磨き粉は使用しないでください。

発泡剤があると長時間歯磨きできないのと、うがいが十分にできない場合研磨剤が口腔内に残ってしまうからです。

お勧めは、うがいしなくてもいいタイプのジェルコートです。

詳しくは 歯磨き粉の選び方

 

④ 入れ歯の方は、歯磨き粉をつけずにブラシで磨いたあと、義歯洗浄剤につけて清潔に保ちましょう。

詳しくは 入れ歯の方の口腔ケアへ 

 


リップは普通のワセリンでいいです
リップは普通のワセリンでいいです

乾燥がひどい場合には、唇にリップクリームを塗ってあげたり、口腔保湿液を使用したりして工夫しましょう。

 

誤嚥の危険性が高い方の場合には、吸引器につけるブラシを使用しましょう。

磨くことによって唾液の分泌が促されるため、誤嚥の危険が高いです。下の項目の口腔ケアの姿勢も参照してください。

 

いろいろ書きましたが、まずは少しずつ始めましょう!!

初日から全てやることは難しいです。

毎日続けることが大切です。

 

リハビリ中の方の口腔ケア

リハビリ中の方には、脳血管の損傷による麻痺から歯がうまく磨けない方が多数いらっしゃいます。

 

脳血管障害の後遺症で利き手が使えなくなってしまったり、握力が弱くなってしまったり、細かい部分が十分に磨けなくなってしまった患者さんには電動歯ブラシが非常に有効です。

 

患者さん自身が上手に扱えるようになる為に、使用方法や正しいブラッシング方法を練習してもらいます。

 

また、うまく扱えないうちは手用歯ブラシで仕上げ磨きを行うことも大切です。

 

最近では、脳血管疾患患者さんで、なかなか手用歯ブラシでの口腔ケアが難しい方への電動歯ブラシの使用が積極的に勧められています。

 

リハビリ中の方で電動歯ブラシの使用が勧められるのは以下のような患者さんです。

 

介護中の口腔ケアに電動歯ブラシがおすすめ

片麻痺により利き手交換を行った患者さん

ブラッシング圧が弱い患者さん

細かい歯ブラシ操作が困難な患者さん

握力が弱い患者さん

 

詳しくは電動歯ブラシについて コチラへ 

 

 

オススメ商品

介護中方の場合、高齢のために歯周病である方が多いので、

歯周病の方へオススメの商品をご覧ください。


介護中、リハビリ中の歯磨きにおすすめ

 DENT.EX systema genki システマゲンキ

 

リハビリ中の方が自分で磨く用

介護中で汚れが多い時に大まかに磨く用

幅広ヘッドで接触面積が広く、歯面から歯頚部まで効率よくプラークコントロールできます。細部に毛先が届くスーパーテーパード毛で、歯肉にもやさしい磨き心地です。


介護中の歯磨き

マミー 17

 

お口が開きにくい方の仕上げ磨き用

本来は子どもの仕上げ磨き用の歯ブラシですが、お口が十分に開かない方の仕上げ磨きにはとても使いやすいのでおすすめです。

ソフトとミディアムがありますが、ソフトをおすすめします。


介護中の歯ブラシ

吸引ブラシ

 

誤嚥の心配がある方

ブラシとチューブが一体化。

吸引機に接続すれば、口腔内に溜まった唾液や痰を吸引除去しながら、歯の清掃を安全に行なえます。


超音波電動歯ブラシ

ソニッケアーキッズ

 

リハビリ中の方

お子さんにオススメの電動歯ブラシですが、柄が太いため麻痺のある方にも持ちやすい設計です。

はじめは振動があって違和感があると思いますが、頑張って使用すれば絶対に効果があります!

 


口腔保湿液 バトラーマウスコンディショナー

 

口腔乾燥の方

ノンアルコールタイプ。

低刺激性で、すっきりとした使用感です。

口腔が乾燥すると口の中が不潔になりやすくなります。


口腔ケアの姿勢

口腔ケアをする時は、だ液が出たりお水をつかいます。あごが上がった状態では誤嚥(肺に入ってしまう)事があります。誤嚥性肺炎を予防するための姿勢を整える必要があります。

のうぼんを使用して、途中唾液を出せるようにして磨くといいと思います。

 

介護中の口腔ケア 姿勢について 寝たきりの場合と座れる場合

 

・イスにすわってする場合

イスに座って後ろから(または前から)介助

あごが上がった状態で口腔ケアをしない。

  同じ目線の位置で口腔ケアをするとあごが上がりにくいです。

足をしっかりついて、椅子に深く座ってもらう。

 

・ベットの上で行う場合

上半身を起こしてもらう。

 起こせない場合には横を向いてもらいます。

 体がずれないように、テーブルをおいたり、ひざ下にタオルをはさむ。

顎を引いた状態を保てるように、枕やタオルを頭の後ろにあてる。

 

・ベットを起こせない場合

クッションなどを当てて体を横向きにする。

体ごと横を向く事が困難な場合には、頭の後ろに枕、タオルを入れて顔だけ横を向ける。

横に倒れたまま口腔ケアを行うと誤嚥する危険性があるため、なるべく吸引をしながら行いましょう。

 

 

 

口腔ケアの前に(脱感作)

リラックスしてもらう、脱感作

 

食事や会話の機会が減ってくると、口を動かすことが減ってくるため、口を触られることに過敏になることがあります。 

急に歯磨きをしようとすると、嫌がったり口を開けなかったりすることがあります。

無理矢理しようとすると、かえって拒否が強くなることもあるので注意して下さい。本来口腔ケアは気持ちのよいものだと分かってもらえるように行っていきましょう。

口腔ケアする前にリラックスしてもらう必要があります。

 

まずリラックスできるような雰囲気をつくることが大切です。

お口に遠いところから、声をかけながらマッサージしていきます。

 

手のひら → 腕 → 肩 → 首 → 顔 → 口

 

手を揉み、腕、肩を揉み、首のマッサージを行い、それからお顔に触れて行きます。

この時、だ液腺のマッサージも行うと、口の中が潤います。唇にリップクリームを塗ってあげるのもいいと思います。