歯周病と全身疾患

 

歯周病がさまざまな疾患の要因になることがあり問題視されています。

健康な口腔環境を維持することは、これらの疾患を予防するためにも大切なことです。

 

歯周病と関連があると言われる全身疾患

 

①糖尿病

糖尿病は血液中の血糖値が異常に高まる病気で、さまざまな合併症をひき起こすき危険性をはらんでいます。

糖尿病のコントロール不良だと免疫機能低下創傷治癒遅延、などにより歯周病が進行します。また、慢性炎症としての歯周病の存在により血糖値が上昇し、糖尿病のコントロールを困難にするという悪循環となります。

 

②誤嚥性肺炎

唾液や飲食物とともに微生物が肺に入ってしまう(誤嚥)ことによって起こる肺炎です。

高齢の方に多いトラブルで充分な注意が必要です。

誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のコントロールが重要になります。

 

③感染性心内膜炎(細菌性心内膜炎)

毛細血管より進入した微生物が、心臓の弁や内膜、心筋に感染して起こる疾患です。

心不全や心臓の弁置換術後の高齢者では、血管内に入った口腔細菌が心内膜や人工弁に付着、繁殖し、感染性心内膜炎を発症します。本疾患で死亡した患者の原因菌の約4割が口腔細菌であったという報告もあるので、心疾患を持っていたり免疫力の低下した高齢者では、口腔衛生管理に注意する必要があります。

 

④虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)

血液中に進入した微生物が原因となって、心臓の冠状動脈が損傷し、血栓が形成されることがあります。この血栓によって血流が滞ると心筋梗塞や狭心症の危険性が出てきます。

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。

 

⑤早産や低体重児出産

歯周病の時に起こる免疫反応が早産を誘発することがあります。

妊産婦の口腔ケアや歯周病予防は極低出生体重児の出生率を下げるとの報告もあります。

 

⑥関節炎、腎炎

関節炎や糸球体腎炎が発症する原因のひとつとして、ウィルスや細菌の感染があります。

関節炎や糸球体腎炎の原因となる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の多くは、歯周病原性細菌など口腔内に多く存在します。

これらのお口の中の細菌が血液中に入り込んだり、歯周炎によって作り出された炎症物質が血液に入り込むことで、関節炎や糸球体腎炎が発症することがあります。